
福岡市南区で司法書士をしております、高垣です。
これから起業・会社設立を検討されている皆様に、非常に喜ばしいニュースがあります。これまで、日本の登記制度において「不可能」とされていた、土日・祝日や年末年始(1月1日など)を会社設立日に指定することが、2026年(令和8年)2月よりいよいよ解禁されます。
「結婚記念日に会社を作りたい」「1月1日の元旦を創業記念日にして心機一転スタートしたい」「一粒万倍日などの開運日にこだわりたい」……。そんな経営者の皆様の熱い想いが、ついに制度として認められることになったのです。
今回は、この画期的な法改正の内容と、具体的にどうすれば休日に設立できるのか、そして実務上の注意点を詳しく解説します。
目次
1. なぜ今まで土日祝日に会社設立ができなかったのか?
これまでの実務を知ることで、今回の改正がいかに画期的なのかが分かります。
「申請日=設立日」という鉄のルール
会社法において、会社の成立日は「設立の登記をした日」と定められています(会社法第49条等)。そして、登記の申請は法務局の窓口が開いている「開庁日(平日)」にしか受け付けられませんでした。
オンライン申請自体は24時間365日送信可能ですが、システム上の「受付」が行われるのは翌開庁日となります。そのため、たとえ日曜日にオンラインで申請ボタンを押したとしても、登記上の設立日は「月曜日」になってしまっていたのです。
起業家を悩ませてきた「カレンダーの壁」
特に「1月1日」を設立日にしたいというニーズは非常に多くありました。しかし、法務局は12月29日から1月3日まで閉庁するため、これまではどうあがいても「元旦設立」は不可能でした。また、大安や一粒万倍日といった吉日が土日に重なった場合も、泣く泣く前後どちらかの平日にずらす必要がありました。
今回の改正(商業登記規則等の改正)は、こうしたデジタル時代のニーズに応え、手続きをより柔軟にするための大きな一歩です。
2. 2026年2月2日施行「指定登記日制度」の概要
新制度の名称は、一般的に「指定登記日制度」と呼ばれます。
制度の根幹
これまでは「申請した日」が設立日でしたが、新制度では「あらかじめ平日に申請しておき、その後の特定の日(休日を含む)を設立日として指定する」ことが可能になります。
いつから利用できる?
改正の施行日は 2026年(令和8年)2月2日 です。
つまり、2026年2月2日以降に申請を行うものから、この制度を利用して土日や祝日を設立日に指定できるようになります。
指定できる日の範囲
申請日の翌日以降で、連続する行政機関の休日のうち、いずれか一日を指定できます。
つまり、直前の開庁日(平日)に申請を行い、その翌日から始まる休日(土日祝日や年末年始)の中から選ぶ形になります。
具体例
- 金曜日に申請 → 土曜日または日曜日のいずれかを指定可能
- 12月28日(金)に申請 → 12月29日から1月3日の連続休日の中から任意の1日(例:1月1日)を指定可能
3. 具体的な手続き方法:休日に設立するためのステップ
実際に土日祝日を設立日にするための手順を整理しましょう。
直前の開庁日(平日)に申請を行う
ここが最大のポイントです。「休日に申請する」のではなく、「休日の前に、法務局が開いている日に申請を済ませておく」必要があります。
- 例1:令和9年(2027年)1月1日(金・元日)を設立日にしたい場合
令和8年(2026年)12月28日(金・最終開庁日)の開庁時間内(午前8時30分から午後5時15分)に、法務局へ書類を提出(またはオンライン申請)します。 - 例2:直近の日曜日を設立日にしたい場合
その直前の金曜日の開庁時間内に申請を完了させる必要があります。
重要: オンライン申請や郵送申請の場合も、指定登記日の直前の開庁日の開庁時間内に到達し、その日付で受付される必要があります。
申請書に「指定登記日」を明記する
単に平日に申請しただけでは、従来通り「申請した日(平日)」が設立日になってしまいます。新制度を利用するためには、以下のように記載する必要があります。
【書面申請の場合】
申請書の余白に、以下の文言を記載します。
【オンライン申請の場合】
「その他の申請書記載事項」欄に、上記と同様の文言を記載します。
【登記すべき事項】
「会社成立の年月日」欄に、指定したい休日の日付(例:令和9年1月1日)を記載します。
法務省公開の記載例
注意: この記載を忘れてしまうと、せっかくの記念日設定が無効になってしまうため、実務上最も注意が必要な箇所です。
登録免許税などの納付
税金の納付についても、当然ながら申請時(平日)に行います。手続き自体は平日に完結させ、システム上の「発効日」だけを休日に予約する、というイメージです。
添付書類について
本特例を利用する場合でも、申請書の添付書類は従来どおり申請日(平日)までに作成したものを添付する必要があります。指定登記日(休日)に作成された書類は認められませんのでご注意ください。
補正のリスクに注意
記載に不備があった場合、登記官が定めた期間内に補正しないと、指定登記日の特例がなかったものとして取り扱われます。つまり、申請日(平日)が設立日になってしまいます。書類作成は慎重に行いましょう。
4. 経営者が知っておくべき「注意が必要なポイント」
夢が広がる新制度ですが、法務局以外の「他の役所」との兼ね合いで注意すべき点がいくつかあります。
税務署・自治体への届出期限
会社を設立すると、税務署や都道府県税事務所、市町村役場へ「法人設立届出書」を提出します。この期限は以下のとおりです。
| 提出先 | 提出期限 |
|---|---|
| 税務署 | 設立の日から2ヶ月以内 |
| 都道府県税事務所 | 多くは設立の日から1ヶ月から2ヶ月以内(自治体により異なる) |
| 市町村役場 | 自治体により異なる(多くは1ヶ月以内) |
設立日を休日に設定しても、この「カウント開始日」は休日のままです。
例
1月1日(金)を設立日にした場合、税務署への届出期限は2月28日(土)または3月1日(日)となります。年始は役所も閉まっているため、実質的な準備期間が短くなる可能性があります。スケジュール管理にはより一層の注意が必要です。
重要: 期限を過ぎても罰則はありませんが、税務署からの各種書類が届かなくなるなどの不都合が生じます。必ず期限内に提出しましょう。
社会保険の手続き
年金事務所への社会保険加入手続きも同様です。「設立から5日以内」という短い期限があるため、土日設立にした場合、週明け早々に動かないと期限を過ぎてしまうリスクがあります。
バックデート(過去の日付)は不可
当然のことながら、申請日よりも前の日付を設立日にすることはできません。あくまで「未来の日付」を指定する制度です。
対象となる手続き・対象外の手続き
対象となる手続き
- 株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の新規設立
- 新設合併による設立
- 新設分割による設立
- 株式移転による設立
対象外となる手続き
- 組織変更(例:合同会社から株式会社、合名会社から株式会社など)による設立
- 持分会社間の種類変更による設立
- 投資事業有限責任組合(LPS)契約の登記
※ 特殊な形態での起業を考えている場合は、事前に専門家への確認が必須です。
5. 「設立日」にこだわるメリット:なぜ多くの起業家が望むのか?
司法書士として多くの起業家とお会いする中で、なぜこれほどまでに設立日にこだわる方が多いのか、その理由をいくつか挙げます。
経営者のモチベーションと「原点」
「自分の誕生日に会社を立ち上げたい」「亡くなった父の命日に誓いを立てたい」といった個人的な思い入れは、経営が苦しい時の支えになります。また、1月1日や4月1日といった区切りの良い日は、創業の志を忘れさせない効果があります。
ブランディングとPR効果
「2027年1月1日創業」という数字の並びは、名刺やホームページ、パンフレットに記載した際に見栄えが良く、顧客に対しても「心機一転、新しい時代と共に歩んでいる会社」というポジティブな印象を与えられます。
開運日・吉日の活用
日本のビジネスシーンでは、今でも「大安」や「一粒万倍日」「天赦日」といった吉日が重視されます。特に福岡は商売が盛んな土地柄もあり、こうした日取りを大切にされる経営者様が非常に多いと感じています。新制度により、これらが土日に重なっても妥協する必要がなくなります。
6. 福岡で会社設立をお考えの方へ:当事務所のサポート
福岡市南区に事務所を構える当事務所では、今回の法改正にいち早く対応し、最新のシステムを用いた会社設立サポートを行っております。
戦略的な設立スケジュールの提案
単に書類を作るだけでなく、「いつ申請し、いつを設立日にするのがベストか」を、税務面や社会保険面のスケジュールも含めて総合的にアドバイスいたします。
福岡市のスタートアップ支援との連携
福岡市は全国的にも起業が盛んな都市であり、創業支援制度が充実しています。当事務所では、こうした公的な支援制度や助成金情報の提供も含め、法務面から皆様のスタートを力強くバックアップします。
煩雑な「指定登記日」の記載もお任せください
新制度では申請書の記載方法が特殊になります。自分で行う場合に起こりがちな「記載ミスによる設立日のズレ」や「補正による特例の失効」を防ぐためにも、専門家である司法書士をご活用ください。
法務省が公開している記載例に基づき、確実に希望の日付で設立できるようサポートいたします。
まとめ:こだわりの設立日で、最高のスタートを
2026年2月2日からの新制度導入により、会社設立の自由度は飛躍的に高まります。
「平日に休みが取れないから」「カレンダー上、希望の日が日曜日だから」と諦める必要はありません。
制度利用のポイントをおさらい:
- 施行日: 2026年(令和8年)2月2日から
- 申請タイミング: 指定したい休日の直前の開庁日(平日)
- 申請書への明記: 「登記の年月日は会社成立の年月日のとおりとすることを求めます」という文言が必須
- 指定できる日: 申請日の翌日以降、連続する休日のうちいずれか一日
- 添付書類: 申請日(平日)までに作成したものを使用
- 補正リスク: 記載ミスがあると特例が無効になる可能性あり
- 税務・社保: 設立日起算で届出期限が来るため、スケジュール管理が重要
皆様が思い描く「理想の創業日」を実現するために、私たちが全力でサポートいたします。
これから設立準備を始める方、日付選びで迷っている方、まずは一度、お気軽に福岡市南区の〇〇司法書士事務所までご相談ください。
会社設立のご相談は、お気軽にお問い合わせください
お問い合わせはこちら参考資料
- 法務省「休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました」
- 法務省「設立の登記の申請の特例の求めの記載例(PDF)」
- 商業登記規則等の一部を改正する省令(令和8年法務省令第2号)

